LifeKeeperにはリソース階層の情報のバックアップを取得するツール「lkbackup」コマンドがあります。これまで、lkbackupで取得した情報をリストアできる条件を明確にしていませんでした。しかし、製品の仕様上内部情報の互換性を保つことが困難な場合があることから、お客様に安全にご利用いただくためにv9.6.1リリース以降は「すべてのLifeKeeperバージョンのlkbackupはそれを取得した環境と同じLifeKeeperバージョンに対してのみ利用可能」と利用条件を明確にいたします。lkbuckupは何らかの理由でリストアが必要になったLifeKeeperのリソース階層をもとの状態に復旧するために使用するものとお考え下さい。
ただし、過去にUpdate Guideやサポートの案内などで他のバージョンで取得したlkbackupを使用した方法をご案内してきた経緯もあり、利用した結果、挙動等に問題があるケースについては復旧のためのお問い合わせをお受けいたします。また、以下LifeKeeperのアップグレード手順に関連した情報を記載いたします。アップグレード作業を検討するための参考情報としてご利用ください。
直接のバージョンアップをサポートされていないバージョンからの最新バージョンへのバージョンアップ方法について
LifeKeeperをバージョンアップする場合、マイナーバージョンが2バージョンの範囲であれば直接のバージョンアップをサポートしています。例えば、現在の最新バージョンであるv9.6.2へ直接バージョンアップできるバージョンはv9.6.0/V9.6.1/v9.5.2/v9.5.1/v9.5.0/v9.4.1/v9.4.0です。直接のバージョンアップをサポートしている範囲であれば、バージョンアップしたいバージョンのLifeKeeperのsetupスクリプトを実行することによってそのままバージョンアップすることができます。
しかし、直接バージョンアップをサポートしていないバージョンからバージョンアップする場合には、直接バージョンアップをサポートしている範囲のLifeKeeperバージョンに一度バージョンアップをした後、もう一度最終的に利用したいと考えているバージョンまでバージョンアップを実施していただく必要があります。具体例として2ノード構成のv9.3.0からv9.6.2へバージョンアップ手順を記載します。
実施例:2ノード構成のv9.3.0からv9.6.2へバージョンアップ
- バージョンアップ申請でバージョンアップに必要なLifeKeeperバージョンを取得しておく
手順を実施する前にバージョンアップ申請時にバージョンアップのために必要なバージョンをあらかじめ取得できるように準備しておきます。この場合、v9.3.0から直接バージョンアップ可能なマイナーバージョンの最新である、v9.5.2と最終的にバージョンアップしたいv9.6.2を入手しておきます。
この際、最終的に利用したいLifeKeeperのバージョンがサポートしているOSについても併せて確認してください。(新しいLifeKeeperではRHEL6やSLES11などサポートを終了しているOSがあるためです。)
- 全クラスターノードをv9.3.0からv9.5.2へバージョンアップする
- あらかじめ現在の構成のlkbackupを取得しておきます。これはバージョンアップ中に問題が生じた場合にバージョンアップ前の状態に復旧できるようにするためです。以下のコマンドを実行します。
# /opt/LifeKeeper/bin/lkbackup -c
- LKGUI 上で、バージョンアップ操作を実施するノード上でのリソースステータスがStandbyであることを確認してください。Activeステータスのリソースがある場合には他のノードへスイッチオーバーしてください。
- StandbyノードのLifeKeeperを停止します。
- Standbyノードでv9.3.0から直接のバージョンアップがサポートされている最後のバージョンv9.5.2の製品CDイメージをマウントしsetupスクリプトを実行しバージョンアップを完了させます。※setupスクリプトは起動時に現在のインストール状況などの情報を収集し、メニューに反映します。そのため、インストール済みのパッケージをバージョンアップするだけでよい場合はそのままインストールを実施してください。
- StandbyノードのLifeKeeperを起動します。起動後、LifeKeeperGUI、またはlcdstatusコマンドを使用してコミュニケーションパスのステータスがActiveであること、Standbyノードのリソース階層構造がバージョンアップ前と同様であることを確認してください。
- すべてのリーソースをActiveノードからStandbyノードにスイッチオーバーします。
- 3番、4番、5番、6番の手順を繰り返します。
- ここまでの手順を実施した結果、すべてのノードのLifeKeeperのバージョンがv9.5.2であることを確認し、クラスターノードと保護対象サービスが正常であることを確認してください。例えば以下のような点を確認します。確認の結果LifeKeeperの状態に疑問点や問題が生じている場合にはご契約のサポート窓口にお問い合わせください。
- 正常性確認の例
- すべてのクラスターノードのLifeKeeperが起動できていること
- コミュニケーションパスがActiveステータスであること
- リソース階層構造がバージョンアップ前と同様の状態であること
- リソースステータスががどちらか一方のノードですべてActiveであり、もう一方のノードではStandbyであること
- DataKeeperの場合にはミラーステータスがSourceとTargetであること
- 保護対象サービスや関連リソースがシステム上正常な状態であること(仮想IPが稼働しているか、ファイルシステムが正常にマウントされているか、サービスが利用可能であるかなど)
- 正常性確認の例
- あらかじめ現在の構成のlkbackupを取得しておきます。これはバージョンアップ中に問題が生じた場合にバージョンアップ前の状態に復旧できるようにするためです。以下のコマンドを実行します。
次に最終的に使用したいバージョンであるv9.6.2にバージョンアップを実施します。手順は前述のv9.3.0からv9.5.2へバージョンアップする場合と同じです。
- 全クラスターノードをv9.5.2からv9.6.2へバージョンアップする
- 必要に応じてこの時点での両ノードのlkbackupを取得してください。これはv9.3.1からのバージョンアップ時と同様にバージョンアップ後問題が生じた場合にv9.5.2で正常に動作している状態に戻せるようにするためです。
- バージョンアップ操作を実施するノード上でのリソースステータスがすべてStandbyであることを確認してください。Activeステータスのリソースがある場合には他のノードへスイッチオーバーしてください。
- StandbyノードのLifeKeeperを停止します。
- Standbyノードでv9.6.2の製品CDイメージをマウントしsetupスクリプトを実行しバージョンアップを完了させます。
- StandbyノードのLifeKeeperを起動します。起動後、LifeKeeperGUI、またはlcdstatusコマンドを使用してコミュニケーションパスのステータスがActiveであること、Standbyノードのリソース階層構造がバージョンアップ前と同様であることを確認してください。
- すべてのリーソースをActiveノードからStandbyノードにスイッチオーバーします。
- 3番、4番、5番、6番の手順を繰り返します。
- ここまでの手順を実施した結果、すべてのノードのLifeKeeperのバージョンがv9.6.2であることを確認し、クラスターノードと保護対象サービスが正常であることを確認してください。(確認点の例として前述の「正常性確認の例」をご参照ください。)確認の結果、LifeKeeperの状態に疑問点や問題が生じている場合にはご契約のサポート窓口にお問い合わせください。
バージョンアップ手順の例は以上です。
バージョンアップ元のバージョンが古くなればなるほど同様の手順を繰り返し実施し、順にバージョンアップしていただくこととなります。
バージョンアップで問題が生じた場合や異なるバージョンで取得したlkbackupを利用して問題が生じた場合
ご契約のサポート窓口にお問い合わせください。その際、お問い合わせいただく際には以下の情報を可能な範囲でご提供ください。
- 発生している問題の概要
- 取得可能な状態であればlksupportファイル
- バージョンアップ前のLifeKeeperバージョンとバージョンアップしたいLifeKeeperバージョン
- リストアに使用したlkbackupファイル
- 実施した手順
- お客様が要望される復旧後の状態やその他関連情報
lkbackupの利用に関する条件と関連情報は以上です。
記載内容について不明点などございましたら、ご契約のサポートまでお問い合わせください。
改訂履歴
2022年11月8日 語彙の表記を一部修正。
関連ワード
#バージョンアップ #アップデート #アップグレード